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豆知識

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造作家具に国産スギ・ヒノキを使う難しさと工夫

サステナビリティや地域材活用への関心が高まるなか、家具や内装に国産のスギ・ヒノキを使いたいという声が増えています。やわらかな木肌、まっすぐで美しい木目、ほのかな香り、そして軽さ——針葉樹ならではの魅力は、既製の量産家具にはない温かみを空間に与えてくれます。

一方で、スギ・ヒノキを造作家具に使うと、広葉樹や化粧板とは違った“クセ”に向き合うことになります。「せっかく無垢のスギで作ったのに、すぐ傷がついた」「天板が反ってしまった」といった話も少なくありません。

この記事では、造作家具に国産スギ・ヒノキを使うときに生じる難しさと、それを乗り越えるための工夫を、製作の視点から解説します。素材の特性を理解しておくと、発注時の仕様の決め方や、仕上がりの満足度が大きく変わります。

なぜいま、造作家具に国産スギ・ヒノキなのか

まず、あえて難しさのある針葉樹を選ぶ理由を整理しておきましょう。

ひとつは環境・地域への配慮です。国産材を使うことは、植えて・育てて・伐って・また植えるという森林の循環を支えることにつながります。輸送距離が短く(ウッドマイレージが小さく)、近年は合法性が確認された木材(クリーンウッド法)への関心も高まっており、企業の調達方針として国産材を選ぶ動きが広がっています。

もうひとつは素材そのものの魅力です。スギは日本の人工林で最も多く植えられている樹種で、比較的入手しやすく、赤身(心材)と白太(辺材)の色のコントラストや、やわらかで温かい表情が特徴です。ヒノキは色味が均一で上品、耐朽性にすぐれ、古くから社寺建築にも使われてきました。どちらも調湿性や香りといった、暮らしに心地よい性質を備えています。

こうした価値を活かすために、針葉樹の“難しさ”を設計と加工でどう手なずけるかがポイントになります。

スギ・ヒノキの基本の性質(針葉樹ならでは)

工夫の前に、材の性質を押さえておきます。スギ・ヒノキは針葉樹で、広葉樹(オーク・ウォールナットなど)に比べて一般にやわらかいのが特徴です。年輪を見ると、春に育つ幅広でやわらかい「早材」と、夏〜秋に育つ細くかたい「晩材」がはっきり分かれており、この硬さの差が加工や塗装の仕上がりに影響します。また、外側の淡い「白太(辺材)」と内側の濃い「赤身(心材)」で、色も耐朽性も異なります。

スギとヒノキの大まかな違いは次のとおりです。

項目 スギ ヒノキ
かたさ やわらかい(傷がつきやすい) スギよりややかたい(それでも針葉樹の範囲)
色・表情 赤身と白太の色差が大きい 淡くクリーム色で均一
香り 穏やか 特有の芳香が強い
耐朽性 赤身は比較的高い/白太は弱め 高く、長く使える
コスト 比較的安価で入手しやすい やや高め・上質感
向く使い方 見え掛かり・表情を活かす部位 上質さ・耐久が欲しい部位

※同じ樹種でも産地・部位・グレードで性質は変わります。実際の選定は用途に合わせて行います。

造作家具に使うときの「難しさ」

針葉樹を家具に使うと、主に次のような課題が出てきます。

1. 傷・へこみがつきやすい やわらかいぶん、ぶつけたり物を落としたりすると、へこみや傷が残りやすくなります。とくに天板やよく手が触れる面では気になります。

2. 反り・割れが起きやすい 木は湿度で伸び縮みします。針葉樹は動きが出やすく、乾燥が不十分だったり、木の取り方(木取り)が適切でなかったりすると、反り・割れ・すき間の原因になります。

3. 節や色ムラが出る とくにスギは節が多く、赤身と白太の色差も大きいため、複数の板を並べると色や表情がばらついて見えることがあります。

4. 塗装ムラ・ヤニ(樹脂) 早材と晩材で塗料の吸い込みが違うため、塗装がムラになりやすい面があります。また樹脂(ヤニ)が塗装をはじくこともあります。

5. たわみ・強度 やわらかく軽いぶん、棚板や天板のスパン(支える間隔)が長いと、たわみやすくなります。

6. 角(エッジ)が欠けやすい 角の部分は特にやわらかさが出やすく、欠けやすい弱点になります。

いずれも「使えない理由」ではなく、「知っておけば対処できる」ポイントです。次章で具体策を見ていきます。

難しさを乗り越える「工夫」

① 適材適所で部位ごとに考える

すべての部位に同じ素材・同じ仕上げを使う必要はありません。傷や水が気になる天板は塗装でしっかり守り、用途によっては硬い材と組み合わせる。表情を見せたい扉や側板にはスギ・ヒノキの木目や赤身/白太を活かす。棚板はたわみ対策を優先する——このように部位ごとに最適解を選ぶのが基本の考え方です。

② しっかり乾燥させ、木取りを選ぶ

反り・割れの多くは、乾燥と木取りで抑えられます。人工乾燥(KD)で含水率を安定させた材を使い、使用環境になじませることが第一歩です。あわせて、木目がまっすぐで狂いの少ない「柾目(まさめ)」を選べば反りにくくなります(そのぶん歩留まりは落ちます)。反りやすい「板目(いため)」は歩留まりが良く表情も豊かなので、部位や仕上げでカバーします。

③ 反り・伸縮を「逃がす」構造にする

木の動きは止めようとするより、逃がす方が理にかなっています。伝統的な**框組(かまちぐみ)では、枠(框)の溝に中央の板(鏡板)を接着せずにはめ込み、湿度による伸縮を框の中で吸収させます。天板には吸い付き桟(蟻桟)**を仕込み、反りを抑えつつ幅方向の伸縮は許容します。幅の広い天板は、無垢の一枚板にこだわらず幅はぎ・集成材にすることで、寸法を安定させる方法もあります。

④ 塗装・仕上げで保護する

やわらかさによる傷や水への弱さは、仕上げで補えます。ウレタン塗装は表面の硬さと耐水性を高め、日常使いの天板に向きます。風合い重視ならオイル仕上げも選べますが、保護力はウレタンに劣るため用途とのバランスで決めます。艶を抑えたマット仕上げにすると細かな傷が目立ちにくく、「うづくり」でやわらかい早材を削って木目を立たせると、意匠性と扱いやすさを両立できます。

⑤ 節・色を「活かす」か「そろえる」か

節や赤身/白太の色差は、欠点にも個性にもなります。あえて節や色差を活かして素朴で温かい表情にまとめる方向もあれば、グレードを選別して無節・色そろえで端正に仕上げる方向もあります。どちらを目指すかを最初に決めておくと、仕上がりのイメージがぶれません。

⑥ たわみは板厚とスパンで対策する

棚板や天板のたわみは、板厚を確保する、支える間隔(スパン)を詰める、裏側に補強の桟や幕板を入れる、といった対策で防げます。載せるものの重さを想定して設計することが大切です。

実例:用途に合わせた素材提案(よもぎ蒸し椅子)

素材の性質を踏まえた提案が活きた例をご紹介します。あるよもぎ蒸し用の椅子の製作では、当初の集成材からスギ材へ変更する提案を行いました。用途上、蒸気による湿気にさらされるため、耐湿性の観点からスギ材が適しており、結果として湿気などへの耐性が上がったうえ、素材費を約10%削減できました。

このように、「その家具がどこで・どう使われるか」を起点に素材と構造を選ぶことで、性能とコストの両立が可能になります。

発注時に押さえておきたいポイント

国産スギ・ヒノキで造作家具を依頼するときは、次の3点を製作側と共有しておくと、仕上がりの満足度が高まります。

第一に、用途と負荷を伝えること。設置場所、載せるもの、水や熱にさらされるか、どのくらい頻繁に触れるかを共有すれば、部位ごとの適切な素材・仕上げを提案してもらえます。第二に、目指す表情をすり合わせること。節や色差を活かしたいのか、端正にそろえたいのかで、材のグレードも変わります。第三に、サンプルで確認すること。色・節・塗装の質感は、実物のサンプルで見ておくと認識のズレを防げます。

まとめ:難しさは、工夫で価値に変えられる

国産スギ・ヒノキは、やわらかさゆえの傷や、動きやすさゆえの反りといった難しさを持ちます。しかし、適材適所の設計、十分な乾燥と木取り、反りを逃がす構造、そして仕上げによる保護——こうした工夫を重ねることで、その難しさは「軽やかで温かく、地域に根ざした家具」という価値に変わります。

造作家具・OEM製作センター.com(西部木工)は、良質な木材の産地として知られる徳島・那賀川流域でものづくりを続けてきました。国産材の扱いに慣れた職人の技術と3DCADによる設計を組み合わせ、スケッチやご要望の段階から、用途に合わせた素材・構造・仕上げをご提案します。小ロットの試作から量産まで柔軟に対応し、仕様が固まっている家具であれば最短2週間での製作・納品も可能です。

「国産のスギ・ヒノキで、こんな家具をつくりたい」——そんな構想の段階からで構いません。まずはお気軽にご相談ください。

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