特注家具の「フラッシュ構造」とは?家具の芯材の種類と使い分け
特注家具やオフィス什器の仕様書でよく目にする「フラッシュ構造」という言葉。言葉は知っていても、具体的にどのような構造で、どんなメリットがあるのか詳しくご存知の方は少ないかもしれません。本記事では、家具製作のプロがフラッシュ構造の仕組みから、芯材の種類、メリット・デメリットまでを徹底解説します。コストと品質のバランスを最適化するための知識として、ぜひお役立てください。
フラッシュ構造とは:中空構造の仕組み
フラッシュ構造とは、家具や什器を製作する際、最もポピュラーに使われる板材の製作方法の一つです。この方法で作られた合板を「フラッシュ合板」と呼びます。
通常、化粧板をつくる際に使われる芯材にはパーティクルボードやMDF(中密度繊維板)などが丸々一枚使われますが、フラッシュ構造は異なります。具体的には、木材やMDFで「格子状の枠」を組み、その両面に薄い化粧板(メラミン化粧板やポリ合板など)を貼り合わせて接着します。
つまり、板の内部は「中空(空洞)」の状態になっているのが最大の特徴です。見た目からは内部が空洞であることはほとんど分かりませんが、持ってみると驚くほどの軽さを実現しています。
強度を支える「ペーパーコア」の役割
もちろん、ただの空洞では強度が不足するため、使用する用途に合わせて内部に補強材を入れます。ここでよく使われるのが「ペーパーコア(ハニカムコア)」と呼ばれる、段ボールのようなハニカム構造の素材です。これを内部に充填して化粧板と重ねて接着することで、実用的な強度を保ちながら軽量な天板や側板が完成します。
家具の芯材の種類と使い分け
フラッシュ構造を理解する上で、比較対象となる他の芯材についても知っておく必要があります。特注家具の設計において、場所によってこれらを使い分けるのがプロの技術です。
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MDF(中密度繊維板): 木材チップを蒸煮・解砕して固めたもの。表面が滑らかで加工性に優れます。
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パーティクルボード: 木材の小片を接着剤で固めたもの。遮音性や断熱性があり、フラッシュ構造の枠材としても多用されます。
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ランバーコア: 小さな角材を並べて芯にし、表面に合板を貼ったもの。反りに強く、ビスの保持力も高いのが特徴です。
これらと比較してフラッシュ構造は、「厚み」を出しつつ「重量」を抑えたい場面で最も威力を発揮します。
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フラッシュ構造を採用するメリット
フラッシュ構造が多くの家具、特に組み立て家具や大型什器に採用されるのには、明確な理由があります。
1. 圧倒的な「軽さ」でハンドリングを向上
最大の利点は重量の軽減です。扉や天板、側板、棚板などに多く使われ、製品全体の総重量を大幅に減らすことができます。特に学校の移動式ロッカーやオフィスの大型テーブルなど、移動や設置のしやすさが求められるシーンで積極的に採用されます。
2. 反りや狂いが少なく品質が安定する
木材をぎっしり詰めた板材に比べ、フラッシュ構造は乾燥や湿気による「反り」が出にくいという性質があります。長期間にわたってフラットな表面を維持しやすいため、精度の求められる家具に適しています。
3. 厚みの自由度とコストの両立
50mmや60mmといった厚みのあるデザインを実現したい場合、芯材をすべて詰めると非常に重く、材料費も高騰します。フラッシュ構造なら、枠の組み方次第で任意の厚みを自由に作ることができ、コストを抑えながら重厚感のあるデザインが可能です。
知っておきたいデメリットと注意点
メリットの多いフラッシュ構造ですが、特注家具を設計・発注する際には以下のデメリットを理解しておく必要があります。
1. ビス(ネジ)を打てる位置が限定される
内部の大部分が空洞であるため、枠材がない場所にネジを打っても固定されません。例えば、テーブルの脚を取り付けるためにオニメナットやネジを打ち込む場合、その位置に「芯材」が入っている必要があります。事前にどこに穴をあける必要があるか、設計時点で明確にしておくことが不可欠です。
2. 耐荷重性への配慮が必要
空洞部分はペーパーコアで補強されているものの、中身が詰まったボードに比べれば点荷重(狭い範囲にかかる強い力)には弱くなります。重い機器を常設する棚や、人が腰掛けるような場所に使用する場合は、構造の強化や芯材の変更を検討する必要があります。
まとめ:用途に合わせた最適な構造選びを
フラッシュ構造は、学校やオフィス、店舗などのBtoB什器において「軽量化」と「コストパフォーマンス」を両立させるための非常に優れた手法です。大切なのは、その特性を理解し、荷重やビスの位置に合わせて適切に設計することです。

